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あいさつ

統計科学研究所所長
統計データ分析士資格認定機構機構長
元中央大学教授・大学院 統計学専攻
元日本統計学会会長
 
杉 山  一

創立10周年記念

2017年2月
 統計学の活用分野は、統計調査、マーケティング、経済予測、計量ファイナンス、品質管理、企業経営システム、保険・年金、情報処理システム、環境問題、生命科学、医薬品開発、人口問題、選挙予測等と多岐にわたっています。それぞれの分野のいろいろな場面で統計データ分析が行われています。私達が実際にデータ分析を行う際には、幾つかある分析法の中から、適切な方法論を選ぶことになります。どの分析法が適切であるかは、統計学の知識と、データ分析の経験が必要になります。また、コンピューターから出てきた数値結果はどのような意味を持っているのか、高い信頼をおいて良いか否かの判断が求められます。
 しかしながら残念なことに、日本の大学においては、統計学および統計データ分析の教育は、ごく一部の例外を除いては極めて貧弱であると言わざるを得ない状況です。例えば、米国、カナダでは60年ほど前に大学に統計学科ができ、1980年代には、100 以上の大学の統計学科で、統計学の専門教育が行われています。お隣の韓国では、この25年間に50程の大学に統計学科ができました。日本では、一つとして統計学科が大学にありませんから、実際に統計学を使わざるを得ない場面に直面したときに、相談する人もなく、困ってしまうという話をときどき聞きます。大学における統計学の教育が貧弱であるということは、社会で活躍している多くの方々が適切な教育を受ける機会がなかったことを意味します。統計学は100年近い歴史のある、深みのある学問であり、また考え方の難しい学問ですから、自分で勉強するのは
容易ではありません.
 このため、日本の大学における統計教育の現状を憂い、何とかしたいという思いで法人統計科学研究所を設立しました。そこに統計科学研究所を設置し、学術研究を進めると共に生きた統計データ分析を必要としている方々を対象に短期の公開講座(統計セミナー)を開講することにしました。講師は、30年以上の経験のある、学問的にも大きな成果を上げて来た、また統計学の教育者としても高く評価されている超一流の方々にお願いすることにしています。更に、新進気鋭の若い方にも演習等で協力していただきます。
 統計科学研究所の大きな目的の一つは、統計学の普及です。実社会においては、統計データ分析の知識があると、それはより質の高い仕事に繋がります。私達は社会への貢献を念頭に置いて、統計データ分析士資格認定機構を設置しました。そこでは、統計データ分析の実務に携わる方々や、大学・大学院で統計学を勉強している方々のために、Statistical Data Scientist(統計データ分析士1級)・Statistical Data Analyst(統計データ分析士2級)・統計データ分析士3級の資格認定を行います。また同時に、資格認定の資料から、能力評価を行い、今後の学習の資料として活用していただきます。
 こうした活動が、日本の大学における貧弱な統計教育を補い、社会における統計学とデータ分析の水準向上に些かでも役立てば幸いです。そのために努力いたしますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。