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分散分析法(実験計画法)
 分散分析法の基本的な考え方と、各方法論の特性について、データ解析の具体例をあげながら講義します。
 教科書の例題や演習問題をパソコンで皆さんと解きます。その際に使う「R」のプログラム(20ほどあります)はすべて差し上げます。
 企業における研究、開発、設計、製造の各段階において「実験」が必ず行われる。広く自然科学の分野でも、研究に関連して「実験」が行われていて、技術者・研究者にとって実験のやり方を教えてくれる分散分析法(実験計画法)の知識は必須である。最近は教育の世界、例えば英語教育法の研究でも、これらの知識が使われたりしていて、英語教育法を研究している大学の先生方が、講座に参加されたりしている。高名な統計学者・鷲尾泰俊先生は「実験計画法の応用スキルの向上は、課題に対して十分に考えて実験の計画を立て、実験データを解析し、結果について十分な考察をする、といったプロセスを忠実に行い、この経験を数多く持つことにより達成されるものである」と述べている。
 分散分析法の講義は、杉山高一先生が行います(2015年まで東京理科大学・理学部で、6年間 当該科目を教えていました。青山学院大学・理工学部等でも教えていました)。
 正規分布についての簡単な知識を必要とします。
 受講者には4,000円程の教科書を1冊、進呈します。受講料は
40,000円(税込)

分散分析法(実験計画法)
前半:
 (1) 分散分析法とは
 (2) F 検定と5パーセント有意水準
 (3) t 分布と95パーセント信頼区間
 (4) 分散分析データの構造模型
 (5) 自由度の概念とその求め方
 (6) 例による分散分析表の作り方と解釈
 (7) 水準効果の推定と最適水準の決め方
 (8) 乱塊法とデータの構造模型
 (9) 乱塊法の例による分散分析
 
(10) ラテン方格法の考え方と配置例(下記に例)
 (11) ラテン方格法とデータの構造模型
 (12) ラテン方格法の分析例
 (13) それぞれの分析法の精度比較
 (14) 2元配置による分散分析と例
後半:
 (1) 2水準の直交表による実験
(下記に例)
 (2) 分析データの構造模型と推定
 (3) 交互作用とその例
 (4) 因子の間に交互作用がない場合の分析例
 (5) 因子の間に交互作用がある場合の分析例
 (6) 誤差項のプーリングと分散分析
 (7) 因子の間に交互作用のない場合の分析例
 (8) 4水準因子の直交表による割り付けと例
 (9) 直交表による実験計画- 2水準の場合
 (10) 3水準の直交表による実験計画
 (11) 因子の間に交互作用がない場合の分析例
 (12) 因子の間に交互作用がある場合の分析例

 ◎質疑応答(2日目、質疑応答で十分な時間が取れないときは、
  希望者と近くの喫茶店で継続することがあります)

前半の(10) ラテン方格法の例
 自動車タイヤの4つの銘柄A1、 A2、 A3、 A4 に対し摩耗度の比較をしたい。1つの車に1つの銘柄のタイヤを取り付けて走らせることにすれば、A1を取り付けた車、A2を取り付けた車、A3を取り付けた車、A4を取り付けた車の計4台の車を、まったく同じ条件で走らせなければいけない。これは、車のばらつき、運転者のクセ、交通事情などを考えるとほとんど不可能に近いであろう。幸い、1台の車には4つのタイヤを取り付けることができるので、“車”をブロックにして実験をすることがまず考えられる。しかし、前輪左、前輪右、後輪左、後輪右のどこに取り付けるかにより摩耗度は変わるかもしれないので、“取り付け位置”もブロックとしてとりあげるのが一番よい実験法であろう。
 考えられる実験配置の一つは、表1のようになる。すなわち、適当に4台の車を用意し、各車に表1に従って
A1、 A2、 A3、 A4 のタイヤを取り付ける。

表1 タイヤの比較試験の実験配置
□□□取付位置
 車
前左 前右 後左 後右
1 A4 A1 A3 A2
2 A3 A4 A2 A1
3 A2 A3 A1 A4
4 A1 A2 A4 A3

 そしてこの4台の車をそれぞれ勝手に走らせ、適当な時期にタイヤの摩耗量を測定すればよい。この場合、用意する4台の車は同じである必要はなく、4人の運転者も同じ運転者である必要はなく、4台の車の走る場所、走り方もまったく勝手でよいことを注意しておく。結論の普遍性のことを考えると、この4台の車は、むしろ積極的に、違った場所を走らせたり、違った走らせ方をさせたほうがよい。
 一定時間走行後、各タイヤの摩耗量を測定したところ表2のようなデータが得られた。このデータを解析して結論を出すことになる。


表2 タイヤの摩耗度(単位mm)
□□□取付位置
 車
前左 前右 後左 後右
1 10 13 7 8
2 8 12 6 12
3 13 9 16 16
4 17 13 13 9

 このデータから、分散分析によって、タイヤの摩耗は
@車によって違いがあるか、A取り付け位置によって違いがあるか、B4つの銘柄A1、 A2、 A3、 A4によって違いがあるか、を調べることができる(分散分析表による)。また、タイヤA1、 A2、 A3、 A4 の効果の95%信頼区間を求め、結論を得ることができる。

後半の(1)2水準の直交表を用いた実験例
 4因子A、B、C、D(例えば、温度A 120℃、140℃, 添加剤の種類B B1、 B2、 添加量C C1、C2 など)。どの因子(ここでの例では、それぞれ2水準)が、実験結果に影響しているかを調べる。実験回数は、直交表を用いた下記の8回である。

表1 直交表による実験
□□□□□□列番
 
 1 2 3 4 5 6 7   水 準      データ
           組合せ
1  1 1 1 1 1 1 1 → A1 B1 C1 D1  x1=12
2  1 1 1 2 2 2 2 → A1 B1 C1 D2  x2=13 
3  1 2 2 1 1 2 2 → A1 B2 C2 D2  x3=21
4  1 2 2 2 2 1 1 → A1 B2 C2 D2  x4=18
5  2 1 2 1 2 1 2 → A2 B1 C2 D2  x5=22
6  2 1 2 2 1 2 1 → A2 B1 C2 D1  x6=19
7  2 2 1 1 2 2 1 → A2 B2 C1 D2  x7=20
8  2 2 1 2 1 1 2 → A2 B2 C1 D1  x8=17

これは2水準の直交表を活用した実験で、8回の実験結果 x1=12、 x2=13、・・・、 x8=17 から、因子
A、B、C、Dの各影響を調べることができる。

 基本的な考え方は以下のようである。
 直交表によるこの実験では、因子のすべての水準組合せは実験されていない。
しかし、いまのように交互作用が存在しない場合には、因子の水準組合せすべてを実験しなくても、この8回の実験データからA、B、C、Dの水準間の比較をすることができる。その理由を説明しよう。A1での4つの実験(No.1、No.2、No.3、No.4)とA2での4つの実験(No.5、No.6、No.7、No.8)とを比べてみる。A1のほうではB1、B2でそれぞれ2回ずつ実験されているが、A2のほうでもB1、B2でそれぞれ2回ずつ実験されている。また、A1のほうではC1、C2でそれぞれ2回、A2のほうでもC1、C2でそれぞれ2回ずつ実験されている。また、A1のほうではD1、D2でそれぞれ2回、A2のほうでもD1、D2でそれぞれ2回ずつ実験されている。このことから、A1でのデータの合計(以後、“A1水準で実験されたデータの合計”を簡単に“A1でのデータの合計”と呼ぶ)とA2でのデータの合計を比較すれば、因子B、C、Dの影響は両方に平等に入っており、
 
(A1でのデータの合計)−(A2でのデータの合計)
を計算すれば、これはA1とA2との比較になっている。いまは因子Aの水準の比較について調べてみたが、他の因子B、C、Dの水準の比較についても同様のことが成り立つ。例えば、B1でのデータの合計とB2でのデータの合計には、他の因子A、C、Dの影響は平等に入っており、単純にB1でのデータの合計とB2でのデータの合計とを比較すれば、B1とB2との比較になっている。これらの事実は前述の直交表の性質から導かれるものである。

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