「OR(Operations Research)入門」の講義項目は以下の通りです。
また、学習支援のため、講義のパワーポイントと関連資料をUSBを通して提供しています。当日パソコンを持参しない方はUSBをご持参下さい。
1.線形計画法
2.輸送問題
3.スケジュール問題
4.在庫管理
5.シミュレーション
6.待ち行列
7.ゲームの理論
質疑応答
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<参考>
「OR入門」を学ぶに当たって参考になりますので、日本オペレーションズ・リサーチ学会会長大宮英明先生の就任挨拶を以下に紹介します。同学会は1957年に設立された伝統ある学会です。
ORを課題解決の実学へ
三菱重工業株式会社 会長 大宮 英明
このたび,伝統あるOR学会の会長としてご推挙いただき,重責に身の引き締まる思いです.会長就任にあたり,OR学会に対する私の思いの一端を述べさせていただきます.
ORは,多様なパラメータからなる複雑系の問題に対して,最適,合理的な意思決定をするための実学として生まれ,発展してきました.私自身も,航空機の設計技術者として,飛行の安定制御や飛行航路の最適化に関する開発に従事し,ORを身近なものと感じて活用してきました.最近では,ORの応用としてゲーム理論や金融工学などが生まれ,社会,産業界の様々な分野で,最適,合理的な判断の支援ツールとして広く役立っています.
ところで,近年のコンピュータの飛躍的な進歩に伴い,より複雑な問題のモデル化,膨大なデータの解析評価が可能になり,OR利活用による新たなブレークスルー,イノベーションの創出が期待されます.携帯電話やSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の普及により,個人が生成し保有するデジタルデータ量が爆発的に増加する中で,いわゆるビッグデータをORを駆使して分析し,新たな価値・ビジネスの創出に役立てる取組みが,IT企業を中心に盛んになっているのはご承知の通りです.企業活動においても,グローバルマーケットへの対応,サプライチェーンマネジメントの高度化,バリューチェーン全体の最適化など,膨大な情報を収集・分析・活用する能力が,競争力を決すると言っても過言ではありません.三菱重工業のような機械メーカにおいても,世界中で稼働中の機器やシステムをリアルタイムで遠隔監視し,膨大なデータを分析して,異常診断や故障予知,運転パラメータのチューニングによる最適運転の実現等,お客様に種々の付加価値の高いサービスを提供しています.
産業界以外においても,OR学会で報告があるように,東日本大震災時に自動車のGPS情報を分析して,避難ルートを策定する等の成果が得られています.今後も,情報処理能力の飛躍的な向上と相まって,ORが社会の課題解決や生活の質向上に大きく貢献することが期待されます.
これまで,欧米は,ORを実学として体系化し,社会の課題解決にうまく活用してきました.一方,日本においては,大学を中心に高い水準の研究がなされていますが,その成果を十分に社会へ還元できていないと感じています.このような取組みを更に進化させるためには,社会や産業界の課題やニーズを的確に把握し,課題解決の手段としてORを活用していくこと,すなわちニーズとシーズのマッチングが重要と考えます.
社会の複雑な課題を解決するためには,多様な視点,価値観,技術の融合が必要ですが,他の学会と比較してOR学会は,経済学・経営学・理学・工学・農学・医学・芸術など多分野の研究者,様々な業種の企業が参加しており,異分野・異業種が連携,協働してシナジー効果を発揮するのに最適な体制,環境にあると言えます.今こそOR学会の総力を結集して,日本のみならず世界の課題解決や新たな価値創出に貢献しましょう.
この実現のため,私も産業界出身者として,産業界とOR学会とのマッチングを進め,活用事例を増やしていく共に,成果の社会への発信に努めますので,皆様のご支援,ご協力をお願い致します.