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生存時間解析と競合リスク
授業時間 6時間
    講 師 中村剛先生
 生存時間解析は観察開始から事象の発生までの期間を扱う統計解析法で、治療後から死亡までの期間を治療群間で比較する時などに用いられます。観察期間中に事故、転出などの病状とは独立した偶然的原因により観察が打ち切られる症例(センサー)が発生しても、Hazard (瞬間死亡率) を用いることで、センサーに依存しない推定と群間比較が行えます。
複数の疾患を抱える患者や重篤な疾患(例えば、がん、心血管疾患、脳卒中、糖尿病、腎臓病、COPD)を抱える患者を対象とした臨床研究では、主要な関心の死因(主死因)以外の死因(競合死因)で死亡することがあります。加齢により多くの成人病の死亡リスクが高まるように、一般に競合死因死のリスクは主死因死のリスクと独立とはいえません。このため、通常の生存時間解析法が適用できません。
 そのような場合に用いられるのが競合リスク解析法です。しかしながら、臨床研究者の間で、競合リスク解析で得られた結果の解釈に混乱が有ります。その混乱を解消するためにCD死亡率(Cause-distinct incidence)が導入されました(Nakamura-Yamada, Japanese Journal of Statistics and Data Science 2025)。さらに、
臨床研究者の理解を促進するための解説論文が掲載されました(Nakamura-Yamada-Nose, Frontiers in Applied Mathematics and Statistics, 16 March 2026)
 本講座の目的は、競合リスク解析における混乱の解消を促進し、単純で正しい解析法を解説することです。ハザードの理解が肝心ですので、ハザードの解説から入ります。途中で疑問や質問を頂いたら、懇切丁寧にお答えします。